チキン、初めてクラブに行く。
*あなたが私の両親、妹、祖父母そのほか3親等以内の親族の場合、いますぐブラウザを閉じることをお勧めいたします。お願いなので。
留学?クラブに行かなきゃ!
部活動の方ではなくて、フゥ⤴︎フゥ⤴︎とライトが回る方のクラブ。
品行方正に生きてきた私からすると、
大人の香りと背徳感が混ざったえも言われぬ魅力が感じられます。
学生連合主催の新歓イベント@クラブ、みたいな感じなら普通に行くよりも安全に違いない。去年留学していた先輩も、はじめの時期は積極的に出かけて友達を増やすのが大切だと言っていた。
行こう!!!意を決して£8のチケットをポチりました。
一緒に出かけるメンバー紹介
友達作りに苦戦してたところ、ちょうどいいことに、前日に寮に到着した人たちとジェンガで遊んでいたら、明日一緒に新歓パーティーに行こう、ということになりました。以下、メンバーです。
アントニオ(スペイン出身)
It's been raining girls my life. (僕の人生、降るように女の子がいた。)だそうです。
でも今はパパみのある男性がタイプ。
なんだかりゅうちぇるを彷彿とされるオーラ感と香水をまとった、交換留学生。
寮の食堂で一緒に食べよう!と言ってくれたり、人懐っこくて優しい。
パーティー、ラブ!!!クラブ、大好き!!!
ジェード(マレーシア出身)
しっかり者の1年生。ナイスなスタイルと豊潤なお胸に目がいってしまう。
どんどん友達を作ってどんどん仕切ってどんどん飲む。お酒大好き。
パーティー、ラブ!!!クラブ、ナンパされるから微妙。
私(日本出身)
ほろ酔いでほろ酔える。日本酒半合で理性に危機が訪れる。
パーティー、なにそれ!!!クラブ、未知の惑星!!!
ちなみに、行きの道すがら恋バナになったところ、お2人ともバイセクシュアルということで、隠れて同性の人と付き合う困難や、親に打ち明ける大変さについて語らっていました。いきなりUCL留学らしい局面。
ゴージャスな相手を見つけたからといってお互いを捨てないようにしようね、と冗談を言い合いました。冗談って思ったのは私だけだったのでしょうか。(伏線)
いざ!
チケットを確認してもらい、リストバンドを受け取る。
パスポートでの年齢確認や持ち物検査、ボディーチェックを経て、いざCLUBへ!
予期はしていたものの、低音ドンドン!光がバンバン!人でパンパン!
ひぇ!!!ついに来てしまった!
そして!
私でもどうにかなりそうな感じだ!!!
クラブというと、もっとキレッキレでダンシング!しているものだと思っていましたが、混んでいるということもあって、ヌルヌルと音楽に合わせて体を揺らしているという雰囲気です。EDM聴きながらひとり部屋でノっていた経験がここで役に立ちそうだ!
そんな甘い見通しは脆く崩れるのですが。
まずは飲む。
出かける前にサイダー(果実の炭酸酒、アルコール4%)のロング缶を一気飲みしていたので、私はもう踊れる気分ですが、何も飲まないでフロアへ繰り出すのは、居酒屋で飲むときにいきなりチャーハンを注文するようなもの、っぽい。
ジェードがスタスタとカウンターに行き、テキーラにする?ウォッカにする?と聞いてきた。ねえ、その2つしか選択肢ないの...?
偏見だが、ウォッカは毒々しい感じがするので、テキーラにしよう!と提案。
ショットグラスに並々注がれる、テキーラ。ねえ、なんで1人2ショット分あるの?
I think I'm going to die. (私死ぬと思う。)と抗議したところ、あんたが倒れたら絶対介抱してやるから!とジェード姉さんに指切りさせられた。ねえ、あなたは本当に年下なの?
For our first night out! (私たちの最初のパーティーナイトに!)と言って2つ続けて一気飲み。人生初テキーラ。焼けるというか暖かい。口内炎に沁みる。
もうどうにでもなれ。パスポートを死守することだけ誓っていざフロアへ。
お酒の力もあって、1時間ぐらい気持ちよくフロアの隅っこで踊る。
各人好きなように音楽に浸る超個人プレー。無理な世間話よりも自分に向いている気がしてくる。ジェードは定期的に他の友達を見つけて飲みに行っては戻る。
順番に奢るのが流儀みたいなので、ジェードが飲み行こうよ!って言ってきたタイミングで唯一まだ財布を出していなかった私が奢ることに。もう飲めないというアントニオを引きずって、3人でウォッカを各1ショットキメました。
お気づきだろうか。私にもう理性は残っていない。
フロアに戻ってまた踊る。時刻は1:30ごろ。そこで事件は起きた。
アントニオーーーー!!!
フロアでは、みんな一緒にきた人と緩やかな輪を作って踊り、目があったりノリがあったりすると、他の輪の人と交わったり、ソロできている人を混ぜたりする。タイミング次第で握手して自己紹介。(耳元で名前と専攻を叫ぶ。エキゾチックな私の名前が聞き取ってもらえているわけはないがそれでいいのだ。)
ジェードはそんな感じで捕まえたソロの人と飲みにいってしまったので、アントニオと向かい合って楽しく踊る。歌詞に合わせてお互いを指差ししたり、ノリノリで楽しい。
隣のグループに紺のシャツの第2ボタンまでを解放した高身長マッチョガイがいる。なんかこれは混ざるノリみたいだ。うんうん。
マッチョガイ、アントニオに合わせて踊り始める。楽しそう!やっぱ白人系同士は気があうのかな。お?なんか腰を落としてセクシーな雰囲気だぞ。ん?マッチョガイ後ろからアントニオをハグしながらダンス???おーう、脚の付け根あたりの触り方がセクスゥィーだなあ。うん???社交ダンスよろしくアントニオがマッチョガイの手を持ってターン。んーーーー?お酒で完全に脳がやられているけど、どうやら私は何かを目撃してるぞ。何かを。わあ。留学=人生経験間違いない。わーお。
曲の切れ目が訪れる。アントニオとマッチョガイが向かい合う、からのキス!
チュってやって終わるのかと思いきやまだキスしてる!ガチい!良い絵だ!
お尻の触り方やばい!ってお前の反応はそれでいいのか自分!私の正解対応とは?!
わあ、見ててむしろこちらが気持ちよくなるようなキスじゃん、貪るって感じじゃん〜
アントニオーーーーーーー!!!
仲間は捨てないって約束したでしょーーーー!!!
しかしアントニオ、心の奥底から楽しそうな表情だ。
私の憐れさを察してか、隣の白人系グループの女の子が肩を優しく組んで、
そっちのグループに混ぜてくれる。ダンス下手くそなのに輪の真ん中でキメさせてくれた。ありがとう。涙ちょちょ切れる。
ジェードも戻ってきたけど、陰のソファで女の子とチュッチュとしている。
私たち遠距離恋愛の同志だねえ、って行きの道中盛り上がったじゃん?ねえ?
事の顛末
結局はというと、最初入場するときに約束した通り、2:30には3人で仲良くUberを呼んで帰った。ジェードと私は2:00ぐらいから一緒に踊ってた。(というかフラフラのジェードがぶっ倒れないように私が要所要所で手を引っ張ってた。そしてアントニオに関して2人で"Oh my God" って連呼していた。)アントニオが見つからないので諦めムードだったところ、フロアと入口をつなぐ部分の陰になっているところでホットな感じだった。けど定刻には出てきた。
君がいたから悪いなあってずっと思ってたよ!
ロンドンで初めての友達なんだし約束は守るよ!と言うアントニオ。いいやつだ。
そこへ、マッチョガイがクラブから出てくる後ろ姿が見えた。私とジェードが煽るとアントニオは後ろから彼を追いかけて抱きついてチューしてた。幸せそう。連絡先は交換してないけど、お互いまた会いたいなら木曜朝10:00に市場で、って約束したらしい。ロマンチック。
ジェードを部屋に送り、手つきがあまりにおぼつかないので、代わりに鍵を開けてあげて私の初クラブナイトは終了した。
人生初のクラブ行きから学んだこと
- 鋼の貞操観念は必須の持ち物。
- ショット3杯は喉が死ぬ。
- ショット3杯は脳が死ぬ。
- ショット3杯は翌日が死ぬ。(1日ベッドで頭痛に苦しんだ。)
- コミュニケーションとしてのダンス。曲を知っていないと楽しめないカラオケ、スマートに話し続けないと楽しめない立食懇親会と比べると、完全に個人的な音楽浴をしながら、その中に緩やかな交流を見出すクラブは私に向いている気がした。
- アジア系はアジア系で、ヨーロッパ系+アングロサクソン出身系はヨーロッパ系+アングロサクソン出身系で固まることを私は病的に気にしている。クラブはほんのちょっとだけ、その壁がなくなるように思えた。本当にちょっとだけれども。もちろん、各グループは単一人種のことが多くて(アントニオは例外的な存在)、混ざる時もアジア系ならアジア系と混ざるほうが楽なんだけれども、酔っ払って踊って暗くて頭湧いていると、素面で日の光のもとにいる時よりも、人種について考えることが少なくなる気がした。自分から話しかけやすかった。
肝臓には迷惑をかけたけれども、
勇気を出して行ってみてよかったと思った次第です。
アントニオ、ジェード、一緒に行ってくれてありがとう。(完)